一般社団法人 日本機械学会関西支部

(社)日本機械学会関西支部

第632回見学会参加記録


開催日: 2009年5月15日(金)
見学先:
 (1)パナソニック (株)  パナソニックミュージアム 「松下幸之助歴史館」
 (2)山岡金属工業(株) ミュージアム「夢工房」
 (3)三洋電機(株) SANYO MUSEUM(サンヨーミュージアム)
参加者: 24名
    (正員 22名、幹事1名、事務局1名)


 守口・門真地区に所在する特色ある3か所の企業ミュージアムを順にバスで回り、見学しました。今回見学させていただいた3社は、いずれも守口・門真両市内に本拠を構え発展してきましたが、その規模や歴史だけでなく、業容、社風に至るまで大きく異なります。しかし、三洋電機の創業者の井植歳男氏は松下電器産業(現在のパナソニック)創業者、松下幸之助氏の義弟で、戦前までは松下電器産業の経営に携わっていたことはよく知られています。また、山岡金属工業社長の山岡俊夫氏の祖父は、経営していた会社が戦時施策で松下グループの松下金属と合併したため、滋賀県の松下金属の工場で勤務することとなり、山岡氏もそれに伴い、大阪から滋賀に疎開されていました。さらに、その工場は現在三洋電機の滋賀事業所となっているなど、3社は奇しくも少なからぬ縁でつながっています。

 松下幸之助歴史館は,1968年に創業50周年を記念し開館したもので,外観部分は1933年当時の本社社屋が復元されたものです。まず、歴史館館長の花岡輝年氏より、松下幸之助氏の生涯と事業発展の歴史を展示している当館の概要などを紹介いただき、続いて、「常に一商人なりとの観念を忘れず」とする幸之助氏のことばをつづったハイビジョン映像「松下幸之助 商いの心」を鑑賞しました。その後、自由見学として、二股ソケットに始まり90余年の歴史を持つパナソニックの家電製品をその時々の幸之助氏の理念や思想、事業発展の歴史と絡めて展示している館内を観覧しました。

 山岡金属工業は従業員60名弱の小さな会社ですが、大阪では一家に一台とも言われる家庭用たこ焼き機で一世を風靡し、現在では、焼肉店の無煙ロースターや、テーマパーク等の屋外で用いられるパラソルヒータといった業務用ガス機器の大手メーカーとなっています。ミュージアム「夢工房」は、同社が顧客や地域社会とともに共存し発展する開かれた企業を目指して2000年に開設されたもので、工場全体がミュージアムとして開放されています。ここでは、館長の佐藤勝彦氏の案内で、各種製品を展示し、実際の調理具合を確認できる商談室を兼ねた「技術・開発館」、実際の製造に使われるプレスマシンや溶接ロボットの並ぶ「技術・工作館」、同社の発展してきた昭和時代の歴史とともに当時のたこ焼き・焼肉用器具や生活用品を紹介する「技術・文化館」などを順次見学したのち、山岡社長が出演されたNHKテレビ「ルソンの壺」を鑑賞しました。最後に山岡社長にご講演いただき、家業として会社経営をとらえ、「経営は親から奪い取るもの」「会社を大きくするな、経営を楽しめ」など、経験に裏打ちされ、独特の経営哲学に基づく示唆に富んだ多くの興味深いお話をいただきました。

 最後に訪れたSANYO MUSEUMは三洋電機の会社設立50周年を記念して2001年に開設されたものです。館内でミュージアムの概要説明を受けた後、三洋電機の歩みを年代ごとに紹介する映像を鑑賞しました。その後自由見学として、創業者井植歳男氏の歩みとともに、同社が初めて開発した多くの独創的な家電製品の実物や往時のスターを起用した宣伝ポスター、「環境・エナジー先進メーカー」を標榜する同社の新しい環境関連製品などの展示を、ミュージアムの案内係の解説をうかがいながら観覧しました。

 バスで3か所の見学先を半日で回るタイトなスケジュールのため、各見学先とも必ずしも十分時間を取れず、とくに山岡社長のご講演などじっくりうかがえず残念なところもありましたが、各社を築きあげてきた個性ある経営者を反映してか、三者三様の違いを体感することができました。また一方、各見学先とも昭和時代の製品が数多くを占めており、参加者の皆様がかつて自身で使われていた製品の展示を発見し、写真に撮影したり、思い出を語られるといった光景も見られました。

 最後になりましたが、貴重なご講演をいただいた山岡金属工業の山岡社長をはじめ、懇切丁寧な説明と案内をいただいた松下幸之助歴史館の花岡館長、夢工房の佐藤館長他、本見学会にご協力をいただいた各館の皆様に心から感謝申し上げます。


   日本機械学会関西支部 企画幹事
   奥田 泰生(三洋電機(株))




(当日の模様)